当院では中絶手術について、こうしたリスクや術後に起きる可能性がある症状や注意点を、わかりやすく患者様にご説明しております。
■手術のリスク
・出血
子宮頚管の損傷、血液凝固障害、子宮穿孔によって起こりますが、可能性がゼロではないという程度です。出血自体はよくある術後の症状ですが、大量の出血が続くことはほとんどなく、数日程度で減っていきます。
・術後感染症
クリーンな手術室で手術を行い、適切な殺菌消毒を行った器具を用いることで感染症リスクを最小限にしています。ただし、クラミジア感染などがあると中絶手術による骨盤腹膜炎などを起こすリスクが高くなります。
・繊毛組織の遺残
きれいに取り除く必要がある組織を一部取り残してしまう状態で、特に子宮奇形や子宮疾患で変形や圧迫がある場合にリスクが高くなるとされています。
・子宮穿孔又は周辺臓器への損傷
手術操作に伴って、子宮の壁や周辺の臓器(小腸・膀胱・直腸など隣接する臓器)に傷がついてしまう状態です。手術に際しては、摘出予定の組織以外には傷をつけないよう、細心の注意を払って行います。
■術後に起こる可能性がある症状
・痛み
これは、手術後に子宮が元の状態に戻ろうとして起きる痛みですが、強すぎる痛みは回復を妨げてしまいます。必要に応じて、鎮痛薬を追加するなど、症状を和らげる対策を取ります。
・出血
個人差がありますが、出血が多い場合でもほとんどは数日で出血量が減少しはじめます。数日してからかたまりが出る、おりものに少量の血液が混ざる状態が2週間ほど続くなど、期間だけでなく内容もさまざまですが、出血量が多くない限り心配はありません。
・めまい
頭痛めまいがあった場合も、覚醒後30分程度で解消に向かいます。めまいがある時には無理してお一人でトイレなどに行かないようにしましょう。できればしばらく眠って回復に努めてください。
・嘔吐
麻酔が効きやすい方に起こりやすい傾向がありますが、30分程度で治まっていきます。吐き気がある場合、術後の飲食をしばらく控え、吐き気が治まってからでお願いします。
・PTSD(心的外傷ストレス)
人工妊娠中絶手術による心の病気、PTSD(心的外傷ストレス)を発症する方がいます。中絶手術による感情の抑圧により発症したPTSDはPAS(中絶後遺症候群)と呼ばれています。
■ご相談窓口
出来れば、中絶以外の選択肢も検討したい、どうしたらいいのか自分だけでは決められない方の相談窓口をご案内します。