親子

妊娠や出産は、女性にとって人生の一大イベント。赤ちゃんの健康を願う気持ちは、誰しもが持つ自然な思いです。しかし、実はその“未来の健康”は、妊娠してからではなく「妊娠前」からの準備が重要だということをご存じでしょうか?
その考え方こそが、「プレコンセプションケア(Preconception Care)」です。聞き慣れない言葉かもしれませんが、これからの時代に欠かせない健康戦略として、今注目されています。


プレコンセプションケアとは?

プレコンセプションケアとは、妊娠を考え始める前、あるいは妊娠の予定がまだなくても、「将来の妊娠」に備えて自分の健康を整えておくという考え方です。
これは単なる妊活ではありません。自分の体や心の状態を見つめ直し、生活習慣を改善し、将来の子どもと自分のためにより良い環境を整える“予防的なケア”なのです。

なぜ妊娠前からケアが必要なの?

赤ちゃんの健康は、妊娠してから気をつければ十分――そう思っていませんか?
実は、赤ちゃんの発育は妊娠のごく初期、妊娠に気づく前から始まっています。たとえば、脳や神経の大切な形成は妊娠4〜5週頃から始まるため、妊娠が判明する頃にはすでに重要な発育段階に入っているのです。
そのため、妊娠前から母体の健康状態を整えておくことが、赤ちゃんの健やかなスタートに直結します。
また、妊娠しやすい体づくり、流産や妊娠合併症のリスク低減など、母体の健康面でも大きなメリットがあります。

プレコンセプションケアで見直したいポイント

では実際に、どんなケアを妊娠前から始めればよいのでしょうか?ここでは特に重要な4つのポイントをご紹介します。

栄養バランスを整える

食生活は未来の健康づくりの土台です。特に葉酸は、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを減らす働きがあるため、妊娠の可能性がある女性は意識して摂ることが推奨されています。
また、鉄分やカルシウム、タンパク質なども積極的に取り入れ、加工食品や糖分の多い食事は控えめに。健康的な食事はホルモンバランスを整え、妊娠しやすい体づくりにもつながります。

適度な運動を取り入れる

激しい運動ではなく、ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、心地よく続けられる運動を日常に取り入れることがポイント。基礎代謝を上げ、血流を促し、自律神経やホルモンバランスを安定させます。

ストレスと上手につき合う

現代社会では、知らず知らずのうちにストレスをため込んでいることも多くあります。過剰なストレスはホルモンバランスを乱し、月経不順や排卵障害を引き起こす原因にもなります。
自分なりのリラックス方法を見つけたり、信頼できる人と気持ちを共有する時間を大切にしましょう。

健康チェック・婦人科受診を習慣に

妊娠を望む前の段階でも、婦人科での定期的な検診を受けておくことは非常に大切です。子宮や卵巣の状態、感染症の有無、基礎疾患の確認など、事前にわかることが多くあります。
また、風疹の抗体検査やワクチン接種歴の確認も忘れずに。パートナーと一緒に受診することで、ふたりの将来を見つめる良い機会にもなります。

未来の自分と赤ちゃんのために、今できること

赤ちゃんの手

「まだ妊娠の予定はないから」「忙しくてそこまで考えられない」――そんな方にも、プレコンセプションケアは意味があります。
このケアの本質は、「今の自分を大切にすること」。将来を見据えて自分の健康と向き合うことは、妊娠に関係なく、女性として健やかな人生を送るための第一歩です。
ライフステージが変わっても、ブレない自分でいるために。自分の体と心の声に耳を傾ける習慣を、今日から少しずつ始めてみませんか?

まとめ

プレコンセプションケアは、将来の赤ちゃんの健康だけでなく、自分自身のための“未来投資”ともいえます。大きなことを始めなくても、小さな意識の積み重ねが、未来を大きく変えてくれます。
「まだ早いかな」と思っても、気づいたときが始めどき。5年後、10年後の自分と家族のために、今できるケアからスタートしましょう。