妊活について二人で前向きに考える夫婦

「妊娠しやすくするために、食事を変えたほうがいいですか?」
「運動不足は不妊治療に影響しますか?」
「仕事が忙しくて睡眠不足なのですが、大丈夫でしょうか?」
妊活や不妊治療を始めると、それまで以上に毎日の生活が気になるようになる方は少なくありません。
インターネットやSNSを見れば、「妊活にはこの食べ物がいい」「これをやめたら妊娠した」など、さまざまな情報が目に入ってきます。
それを読むたびに、「私ももっと頑張らなければ」と思ってしまうこともあるでしょう。
では実際に、生活習慣と不妊治療の成功率にはどのような関係があるのでしょうか。
まず知っていただきたいのは、生活習慣だけで妊娠の結果が決まるわけではないということです。
そのうえで、食事や睡眠、運動など毎日の暮らしを整えることは、妊娠を目指す体のコンディションを支える大切な要素になります。
今回は、妊活・不妊治療中だからこそ知っておきたい生活習慣について、わかりやすくお伝えします。


※当院の不妊治療に対する基本的な考え方などをお伝え⇒当院の不妊治療への想い、考え方について

生活習慣だけで「不妊治療の成功率」は決まりません

「まだ1年たっていないから様子を見よう」「周りはまだ何もしていないし…」と相談を先延ばしにする方は多いのですが、不妊治療は“早すぎる”ということはありません。
とくに30代後半〜40代に差しかかると、妊娠の可能性は急激に下がっていきます。少しでも「不安」や「違和感」を感じたら、まずは一度受診して、現在の状況を知っておくことをおすすめします。
また、検査や相談=すぐに本格的な治療が始まるというわけではありません。ご自身の希望や状況に応じて、治療の段階を少しずつ進めることもできますので、安心して相談に来ていただければと思います。

妊活中にまず見直したい「食生活」

妊活を始めると、「何を食べれば妊娠しやすくなりますか?」という質問をよくいただきます。
残念ながら、「これを食べれば妊娠できる」という特別な食品はありません。
大切なのは、一つの食品や栄養素に偏るのではなく、毎日の食事をバランスよく摂ることです。
肉・魚・卵・大豆製品などからたんぱく質を摂り、野菜や果物、主食、良質な脂質などを組み合わせていきましょう。
妊娠を希望する女性では、妊娠前から葉酸を適切に摂取することも推奨されています。
サプリメントを利用する方も増えていますが、「妊活によい」と聞いたものを何種類も自己判断で摂る必要はありません。治療中のお薬との兼ね合いもありますので、迷ったときは医師に相談しましょう。
食事は毎日のことだからこそ、特別な妊活食より、無理なく続けられる食生活を目指すことが大切です。

睡眠と妊活|「夜更かしが続いている」は見直すきっかけに

仕事や家事をしながら不妊治療を続けていると、どうしても睡眠時間が短くなってしまうことがあります。
睡眠は、心身の健康や自律神経、ホルモン分泌などを支える大切な時間です。
だからといって、「毎日必ず○時間眠らなければ妊娠できない」と考える必要はありません。
まずは、できるだけ寝る時間と起きる時間を整えることから始めてみましょう。
寝る直前までスマートフォンを見る習慣を少し減らしたり、ぬるめのお風呂で体を温めたりするだけでも、眠りに入りやすい環境づくりにつながります。
「今日は早めに休もう」
そのくらいの気持ちからで十分です。

運動は「頑張る」より「続ける」こと

妊活のために突然ハードな運動を始める必要はありません。
ウォーキングやストレッチ、軽い筋力トレーニングなど、心地よく体を動かす習慣から始めてみましょう。
適度な運動は健康的な体重の維持や体力づくりに役立つだけでなく、気分転換やストレス解消にもつながります。
不妊治療中は、どうしても頭の中が「妊娠できるかどうか」でいっぱいになってしまうことがあります。
そんなときこそ、外を歩いて季節を感じたり、好きな音楽を聴きながら体を動かしたりする時間も大切です。
運動を妊娠するための“宿題”にしないこと。
気持ちよく続けられることを見つけてみてください。

体重管理は「痩せればいい」わけではありません

妊活では体重について気にされる方も多いですが、単純に「痩せていればよい」というわけではありません。
体重が多すぎる場合だけでなく、極端なやせや無理なダイエットも、月経周期や排卵などに影響することがあります。
大切なのは、その方に合った健康的な体重を目指すことです。
短期間で体重を落とそうと食事を極端に減らすのではなく、食事と運動を少しずつ見直していきましょう。
治療中の体重管理について心配なことがあれば、診察の際にご相談ください。

妊活中だからこそ考えたい喫煙・飲酒・カフェイン

生活習慣の中でも、特に見直していただきたいのが喫煙です。喫煙は女性だけでなく、男性の生殖機能にも悪影響を及ぼす可能性があります。
妊活は女性だけが取り組むものではありません。パートナーが喫煙している場合には、二人で禁煙について考えてみるのもよいでしょう。
飲酒やカフェインについても、「妊活を始めたら何もかも禁止」と極端に考える必要はありませんが、摂りすぎには注意が必要です。特に妊娠の可能性がある時期や妊娠がわかった後については、医師の指示に従いましょう。

実は男性の生活習慣も大切です

不妊治療というと、どうしても女性側が「自分の体をもっと整えなければ」と背負ってしまいがちです。
しかし、不妊の原因は女性だけにあるものではありません。
男性側の年齢や精子の状態なども関係しますし、喫煙、肥満、食生活などの生活習慣が男性の生殖機能に影響する可能性もあります。
だからこそ、妊活は「女性が頑張るもの」ではなく「二人で取り組むもの」と考えてみてください。
夕食を少し整える。一緒に散歩する。少し早く休む。
二人でできる小さな習慣から始めることで、妊活そのものの負担感も変わってくるかもしれません。

頑張りすぎる「妊活生活」になっていませんか?

妊娠を望む気持ちが強いほど、生活習慣についても真面目に取り組みすぎてしまうことがあります。
「これは食べてはいけない」
「毎日運動しなくてはいけない」
「夜10時までに寝なければいけない」
気がつけば、生活のすべてが「妊娠するため」になってしまうこともあります。
でも、100点の妊活生活を目指す必要はありません。
生活習慣は一日で変えるものではなく、続けることで少しずつ体の土台を整えていくものです。
できない日があっても大丈夫です。
今の生活の中で「これなら変えられそう」と思うことを一つ見つけるところから始めてみましょう。
そしてもう一つ大切なのは、あまり神経質になりすぎないことです。
妊活中は食事や睡眠、運動など、ちょっとしたことまで気になってしまうものです。しかし、「あれもダメ、これもダメ」と自分を縛ってしまっては、毎日の生活そのものが苦しくなってしまいます。
ときには好きなことを楽しんだり、パートナーとゆっくり過ごしたり、自分のための時間をつくることも大切です。
妊活は短距離走ではありません。肩の力を少し抜いて、心も体もリラックスしながら、ご自身のペースで進めていきましょう。
そして、迷ったときや不安になったときには、一人で答えを探し続けるのではなく、医師に相談してください。

医師からのワンポイントアドバイス

妊活中は、「もっと何かしなければ」と頑張りすぎてしまう方が少なくありません。
しかし、生活習慣だけで妊娠の結果が決まるわけではありません。
食事・睡眠・運動などを整える目的は、妊娠のために自分を追い込むことではなく、妊娠を目指すご自身の体を大切にすることです。
一度に全部変えようとせず、無理なくできることから一つずつ。わからないことや不安なことは、遠慮なく医師に相談してください。

不妊治療は「治療+毎日の暮らし」を一緒に考える

不妊治療では、検査結果や治療方法だけに目が向きがちです。
けれど、その治療を受ける患者さまには、それぞれの生活があります。
仕事が忙しい方、家事や育児と両立している方、なかなか睡眠時間を確保できない方もいらっしゃいます。
みすずレディースクリニックでは、一人ひとりの状況を大切にしながら、不妊治療について一緒に考えていきます。
「このサプリメントは飲んでも大丈夫?」
「治療中に運動してもいい?」
「食生活をどう変えればいいかわからない」
そんな日常生活の疑問も、どうぞ気軽にご相談ください。

まとめ|妊娠のためだけではなく、これからの自分のために

生活習慣を改善したからといって、不妊治療が必ず成功するわけではありません。
妊娠には年齢や卵巣機能、精子の状態、不妊の原因など、多くの要素が関係しています。
だから、思うような結果にならなかったときに、「自分の生活が悪かったから」と責めないでください。
一方で、バランスのよい食事、心地よい運動、十分な休息などは、妊娠を目指す期間だけでなく、妊娠後、そしてその先の健康にもつながっていきます。
「妊娠するために完璧な生活をしなければ」と考えるのではなく、これからの自分のために、今の体を少し大切にしてみる。
その小さな積み重ねが、妊活や不妊治療を続けていくあなたの心と体を、やさしく支えてくれるはずです。
みすずレディースクリニックでは、治療だけでなく、その間の不安や日々の過ごし方にも寄り添いながら、一緒に妊娠を目指していきます。